「晴れ。今宵、岩倉卿が両公をお訪ねになり、私も同席した。終日、来客絶えず。今夜は山縣狂介(有朋)の家で人々と話した。久保や杉が居た。記、今日、奥平二水(数馬)が萩に帰ってきた。」
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杉や奥平の様に風流な友人達はかけがえのない宝物だ。一年前に私が萩に戻っていた時も、我々は秘密の会合を開き、一興としてこの火鉢に寄せ書きをしたのであった。私が石を、杉が竹を、奥平が山茶花を、宍戸が梅を描き、野村が詩を書いたのだ。名作ではないかね?
「晴れ。十一時頃に一時の豪雨と雷鳴。安玄佐とその倅が来た。井上世外が話しに来た。先日話した藩の会計局の一件や、その他の件の評議は先延ばしにされたようだ。十年後に待ち受けている大いなる災いが見えている者達はほんの一握りしかいなく、多くの役人達は目の前の問題に対応するのみだ。私はこの...
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