2021/04/11

明治四年二月二十二日 (1871/4/11)

 「晴れ。七時過ぎに岩倉卿に会い現況について議論してから九時過ぎに参朝。岩倉卿、大久保と私は二時過ぎに御前に呼び出され、御酒と食事を賜った。四時頃に退出し染井に向かうと、庭の桜は七八分咲きになっており風光明媚であった。だが今年の春は去年とは違い、私は心中不満に思っていることがある。今日、後藤雲濤(象二郎)夫妻、杉猿村(孫七郎)、平岡夫妻、老伊藤夫妻、その他数名が花見に来た。八時過ぎに解散、私は九時過ぎに帰宅した。」

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今日各所で見られるソメイヨシノは、私の別荘があった染井の造園師達が明治に育成したもので、実は意外と歴史の浅い品種だ。元は桜の名所吉野山にあやかり吉野桜と呼ばれていたが、それでは本物の吉野の桜と紛らわしいということで今の名になった。東京招魂社(靖国神社)の桜も私が植えたソメイヨシノだ



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明治四年五月十三日 (1871/6/30)

「晴れ。十一時頃に一時の豪雨と雷鳴。安玄佐とその倅が来た。井上世外が話しに来た。先日話した藩の会計局の一件や、その他の件の評議は先延ばしにされたようだ。十年後に待ち受けている大いなる災いが見えている者達はほんの一握りしかいなく、多くの役人達は目の前の問題に対応するのみだ。私はこの...