2021/06/07

明治四年四月二十日 (1871/6/7)

 「雨後晴れ。朝の内に手紙を認めた。青甫の叔母……が訪ねて来た。私達が一時に出発する前に、一家が集合し談笑した。半左衛門の孫、寛二郎を是非教育の為に東京に連れて行きたいと思い、彼の父源蔵とその約束を交わした。寛二郎はまだ僅か四歳だ。五時過ぎに深川に到着し、大谷鉄之進の所に泊まった。松と正二郎は先に着いていて、この宿に泊まっていた。内藤元泰と……末吉もこちらに滞在している。鹿島正右衛門の部下が私を見舞いに来た。下関の大吉も来た。記、今日再び、あの子無しの御老人に逢ったので、幾許かの資金を渡した。こうして民間の実情を目撃するに、藩政の至らぬところも少なくない。官たるもの、時折民間の事情を熟視すべきだ。」


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明治四年五月十三日 (1871/6/30)

「晴れ。十一時頃に一時の豪雨と雷鳴。安玄佐とその倅が来た。井上世外が話しに来た。先日話した藩の会計局の一件や、その他の件の評議は先延ばしにされたようだ。十年後に待ち受けている大いなる災いが見えている者達はほんの一握りしかいなく、多くの役人達は目の前の問題に対応するのみだ。私はこの...