「晴れ。七時に宿を引き払い、難波橋まで小舟で向かい、利渉丸に乗船。八時過ぎに錨を上げ、四時過ぎに伏見に到着。蒸気船で川を上ったのはこれが初めてだ。この国の文明開化は目覚ましい。往時を振り返るに、その時々は遅いと感じていた変化が、実はいかに早いものであったのかを思い知らされた。七、八年前のことを思い出すたびに、私が今日まで生き延び、このような船に乗っていることは意外もまた意外だ。伏見の鼈甲屋で竹輿を雇い、それで京都へと入京した。六時であった。槇村の所に行き、柏楼に泊まった。」
==========
この蒸気船については歌川芳雪も美しい浮世絵を描いている。ちなみに淀川の蒸気船は明治後半に鉄道が栄えるにつれ廃れていったわけだが、つい二三年前から淀川浪漫紀行という名で復刻ツアーが行われている。私もまた乗りに行きたいものだ
0 件のコメント:
コメントを投稿