「夜明けに風雪。窓を開け放つと、東山と鴨川は一面の銀世界であった。この景色の美しさは筆舌に尽くし難い。岩倉卿から手紙と共にお茶と洋酒の贈り物を頂戴した。十一時過ぎに、月波楼に泊まっている大久保を訪ねると、そこには村田新八も居合わせていた。酒を飲みつつ談笑し、四時過ぎに退出し、前田松閣に会いに行った。そこから岩倉卿の元へ向かい、現状について密談を交わし、七時頃に宿に戻った。莱山が朝訪ねて来た。夜には、浪華から到着した平原も話しに来た。」
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岩倉卿は権謀術数で知られているが、その実非常に質素で気さくなお方だ。私もそうなのだが酒が大層にお好きで、大事な話のときにはいつも徳利を抱え込み、良く対酌で語り合ったものだ
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