2021/01/24

明治三年十二月四日 (1871/1/24)

 「夜明けに風雪。窓を開け放つと、東山と鴨川は一面の銀世界であった。この景色の美しさは筆舌に尽くし難い。岩倉卿から手紙と共にお茶と洋酒の贈り物を頂戴した。十一時過ぎに、月波楼に泊まっている大久保を訪ねると、そこには村田新八も居合わせていた。酒を飲みつつ談笑し、四時過ぎに退出し、前田松閣に会いに行った。そこから岩倉卿の元へ向かい、現状について密談を交わし、七時頃に宿に戻った。莱山が朝訪ねて来た。夜には、浪華から到着した平原も話しに来た。」

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岩倉卿は権謀術数で知られているが、その実非常に質素で気さくなお方だ。私もそうなのだが酒が大層にお好きで、大事な話のときにはいつも徳利を抱え込み、良く対酌で語り合ったものだ



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明治四年五月十三日 (1871/6/30)

「晴れ。十一時頃に一時の豪雨と雷鳴。安玄佐とその倅が来た。井上世外が話しに来た。先日話した藩の会計局の一件や、その他の件の評議は先延ばしにされたようだ。十年後に待ち受けている大いなる災いが見えている者達はほんの一握りしかいなく、多くの役人達は目の前の問題に対応するのみだ。私はこの...