「晴れ。今日は西風が強かった。楫取素彦、坪井……と貞永幽之助が来た。十時過ぎに、一同で向島の藤井鉄之助の元に向かい、五時過ぎに宿に戻った。山尾庸三からの手紙が届いた。記、今日は秀策に薬を貰った。」
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楫取さんは長州年長組の一人で、松陰先生とも縁の深いお人だ(事実、先生の二人の妹、寿さん文さんと結婚している)。御老公の覚えも目出度く、この当時は側近としてお仕えされていた。御老公お亡くなりの後は、熊谷(群馬)県知事となり、富岡製糸場を含めた製糸業の発展や教育事業に尽くされた
「晴れ。十一時頃に一時の豪雨と雷鳴。安玄佐とその倅が来た。井上世外が話しに来た。先日話した藩の会計局の一件や、その他の件の評議は先延ばしにされたようだ。十年後に待ち受けている大いなる災いが見えている者達はほんの一握りしかいなく、多くの役人達は目の前の問題に対応するのみだ。私はこの...
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